自分に代わって会社に退職の意志を伝えてくれる退職代行サービスは便利ではありますが、案外失敗例も多いのは知っていましたか? 依頼する業者によっては、会社との関係がこじれたり、自分で直接言うよりスムーズに退職できなくなったりするのです。
ここでは、退職代行の現場で実際に起きている失敗例10つを利用者の口コミや体験談を交えて紹介します。そうして失敗やトラブルを避けるためには、信頼できる業者に依頼するのが一番です。
退職代行の利用で考えられるトラブルの種類8つ
まずは、最もよく起こりえる失敗例の種類を8つ紹介します。ここに挙げた失敗例は、退職代行を使うときには、頭の片隅に置いて気を付けておきましょう。
【失敗例1】出勤することを強いられる
退職代行を利用する場合、もうその会社には出勤したくないですね。通常、退職代行のサービスを利用すれば、利用者が出社せずに退職できるように取り計らってもらうことができます。けれど、以下みたいな事例もあります。
退職の手続きをするために出社しないといけないと言われた。
仕方なく出社して、会議室に通されて人事の担当者と話をして退社の理由を聞かれたりした。結局、退職は出来たけれど…
中には「訴えるぞ!」とか、脅しまがいの話をする会社もあるようです。そうならないためにも、一切出社しないことを退職代行業者に伝えておくとよいですね。
退職代行業者が最初にきちんと交渉しておいてくれれば、基本的には、その後は出社したり会社の人と話したりする必要はないよ。万が一電話があっても、無視して問題になることなんてない
【失敗例2】退職に必要な書類が送られて来ない
退職するときに、会社からいくつかの書類を受け取ることになりますが、その中でも雇用保険の加入者であることを示す「雇用保険被保険者証」は転職先の会社に提出する必要があります。また、退職の事実を証明する「離職票」については、(すぐに転職するなら不要ですが)持っていないと失業手当が受け取れません。
退職代行を使うとき、信頼できる業者ならそのあたりのケアもしっかりしてくれるのですが、そうでないとこの辺がおろそかになることもあり注意が必要です。結果、書類が送られてこず、自分から直接会社に連絡しないといけなくなります。
以下、退職代行の体験談ではないですが、退職してもなかなか雇用保険被保険者証を送ってもらえなかった、という人の例です。
3月に入ってもなかなか離職票などの必要な書類を送ってもらえず、何度も催促し、今日やっと雇用保険被保険者離職証明書が送られてきたのですが…
参照元:ヤフー知恵袋
ちゃんとした業者に頼めば、会社に書類のこともしっかり話しておいてくれるよ。
【失敗例3】会社から直接連絡が来る
退職代行とのやり取りに納得せず、会社から直接雇用者へ連絡してくる場合もあります。ただ、これは業者も本人へ連絡をしないことを強制することはできないので、確実に予防することはできません。
ただ、ちゃんとした業者なら連絡しないよう話をつけておいてはくれますし、仮に電話があっても特別な事情がなければ(会社に借りていて返すべき物品を返していない等)、無視しても構いません。
特別な事情がないなら、連絡がきても無視してしまおう
【失敗例4】給料・退職金が支払われない/有給が取れない
特にブラック企業に多いのですが退職を認める代わりに「給料を支払わない」といってきたり、本来就業規則で決められている筈の退職金の支払いを拒否したりすることがあります。また、有給を許可しない事例もあります。
退職をするからといって給料を支払わない、なんてことは本来許されませんし、退職金に関しても、横領など重大な背任行為がない限りは会社が支払いを拒否することはできません。
退職金の支給基準において、一定の事由がある場合に退職金の減額や不支給を定めることは認められますが、賃金の後払い的性格及び功労報償的性格を考慮すれば、労働者のそれまでの功績を失わせるほどの重大な背信行為がある場合などに限られます。
引用元:「確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省」
ただし有給取得や未払い賃金等に関する交渉は、退職代行の業者の中でも一部の業者しかそもそも会社と交渉ができないので注意しましょう。詳しくは後述しますね。
有給取得とかの交渉をしてもらうなら、それなりの業者に依頼しないといけない
【失敗例5】退職後に、元の会社の人と顔を合わせる
これは、どんな退職代行の業者を使っても避けられません。たとえば転職先の職場が退職した会社の近くであれば、元の会社の同僚などと顔を合わせるかもしれませんし、同業種への転職なら、仕事の関係で元の会社と一緒に仕事をすることになる、なんてこともあり得るでしょう。
こんなときに気まずくならないためにも、信頼している同僚などには「実は退職代行を使って辞めようと思っている」とか話しておいた方がよいですね。もちろん、職場の人間関係が原因で退職したい場合もあるでしょうから、無理はしなくてよいです。
退職後に元の会社の人と顔を合わせて微妙な感じになる、というのは、避けられないよね…
【失敗例6】退職できない
実のところ業者によって、仕事の品質はバラバラ。退職代行は特別な免許がいりませんから、いい加減な業者も結構いるんです…。特に格安をうたっている業者には注意が必要。「ガキの使い」程度の伝言役しかしてくれず、退職できないというケースも多いようです。
退職代行サービスで辞めた1年目の子が人事に呼び出されて来社してきた。失敗してんじゃん!!!
— うさぎいぬ (@usagiinu_) September 6, 2019
その他、退職代行を使ったのに退職ができず失敗して出社し続けているという悲惨な失敗例もあります…。
退職代行の業者は良くも悪くも多くて玉石混交。安いからと言って怪しいところに依頼すると後悔することになるよ
【失敗例7】業者と連絡がとれなくなる
退職代行という業種が注目を集めてから、業者を名乗る会社が急増しています。
昨年末あたりから、『退職代行はおいしい』と代行業者が雨後のたけのこのように林立しだした。しかし、中には怪しげな業者も多く、利用者との間でトラブルになるケースが増えている。
引用元:ダイヤモンド・オンライン
中にはお金を支払うだけ支払って、実際には会社に連絡もせず身を隠してしまう業者もあるよう。特に「先着〇名まで〇円」のように格安な料金設定で勧誘している業者には、注意が必要です。退職代行を依頼する際には、通常前払いになるので特に業者選びには気を付けないといけないですね。
つい金銭的に厳しかったから有名じゃない退職代行利用したけど、連絡遅いし親切なのは入金する前だけ…失敗したなぁ。。退職代行自体頼むべきじゃなかったのかな…後悔。
— 柚子湯 (@ponzuponzu300) September 30, 2019
以下みたいな、さらにひどい事例も報告されています。
最近は女性の依頼者に対して、相談に乗るふりをして酒の席に誘ったり、体の関係を求めてくる闇業者もいます。女性もスムーズに事が運ぶならと応じてしまう人も少なくありません。中にはホテルに行ったあと、一切の連絡を断ってしまったケースもあります。
引用元:exciteニュース
退職代行は本来3万円程度はかかる。相場とかけ離れて安い業者には、いい加減なところも多いので注意しよう。
【失敗例8】最初に聞いていなかった料金を業者に請求される
これもよくある失敗例です。「料金は〇円で、その他は不要です」なんて宣伝しているのに、実際申し込んだら「即日対応の場合は〇円の追加」「有給を取得する場合は追加○円」など、いろいろなオプション料金を後から請求されるパターンがあります。申し込みの際は気を付けないといけませんね。
費用が安過ぎる業者は、こういう意味でも注意が必要…。
滅多にないが起こりえる失敗例の種類2つ
これまでは、比較的多いトラブルの例を紹介しました。この次に紹介するのは、滅多には起こりえないものの、もし起こったときに厄介なことになる失敗例です。退職代行を使うなら、こんな危険性があることも覚えておきましょう。
【失敗例9】懲戒解雇を言い渡される
雇用者が自らの意志で退職する「自主退職」と違い、いわゆるクビにあたる「懲戒解雇」の処分を受けると、転職先に退職理由を聞かれた場合は偽りなく伝えなくてはなりません。(履歴書には書かなくてもよい。)
仮にウソをつくと経歴詐称という扱いになり、それが転職先にバレると今度は転職先で懲戒解雇の処分を受ける可能性があります。
雇用者に責任がない、というしっかりした理由があれば転職先が分かってくれる可能性もありますが、懲戒解雇を受けると転職のときに不利になることは否めません。懲戒解雇処分が、働く人にとってどれだけ重い処分か分かるでしょう。
退職代行を使って退職をしようとするときに、会社が先手をうって懲戒解雇を言い渡す – ということは、基本的にはありません。なぜなら懲戒解雇とは以下にあるように、かなり限られたケースでしか行えないからです。
会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければなりません。
引用元:「確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省」
ただし退職時に有給も認められず、無断欠勤が続いているなんて判断をされると、懲戒解雇するされてしまう可能性も否定できません。
長期の無断欠勤も、懲戒解雇の理由になるからです。退職代行を使うなら、こんなトラブルが起きないように、スムーズに調整してくれる業者を選ばないと不安ですね。
可能性は低いとはいえ、こういうこともありえることは覚えておいてもいいだろう。
【失敗例10】損害賠償を請求される
退職代行で退職されることを理由に、会社から「損害賠償するぞ!」なんて脅しを受けるケースもあるようです。ただ、実際には口だけで本当に実行される可能性は高くありません。
退職代行を使おうが使うまいが、退職すること自体は労働者の権利であり、雇用主は拒むことはできないからです。もし本当に訴えたとしても裁判費用や手間ばかりかかってしまって、会社に得はありません。
ただし、これは退職代行を使うかどうかには関わりませんが、あなたが突然退職することにより会社が実質的に多額の存在を受けるような場合、損害賠償を請求される可能性も。
過去には、社員の退職がきっかけで1,000万円の利益が出るはずだった契約が無効になったとして、その社員に対し訴えを起こした「ケイズインターナショナル事件(※)」の例があります。
※参照元:「確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省」
この事件では、元社員に70万円をこえる賠償金の支払いが命じられています。
もし、自分が辞めることで、この例のように何かの契約が確実になくなるなど心当たりがある場合は、退職代行を選ぶときにも注意が必要です。
退職しようとして会社に「損害賠償するぞ!」なんて言われても、たいていはただの脅し文句。本当に訴えても相手に得はないから、実際に裁判となる可能性は限りなく低い。
トラブルや失敗を避けるには信頼できる業者に依頼する
これまで、退職代行の様々なトラブル事例を見てきました。その中でも、「退職したあとに元の会社の人と会う」といった避けがたい失敗例はあるものの、その多くが怪しい感じの退職代行業者に依頼してしまったために起こりえる失敗です。
以下みたいな失敗例も報告されています。
つい金銭的に厳しかったから有名じゃない退職代行利用したけど、連絡遅いし親切なのは入金する前だけ…失敗したなぁ。。退職代行自体頼むべきじゃなかったのかな…後悔。
— 柚子湯 (@ponzuponzu300) September 30, 2019
逆に言えば、実績があって信頼性も高い業者に依頼さえすれば、トラブルの大半は間違いなく避けられます。しっかり仕事をしていないと実績はあげられませんし、彼等には相応のノウハウもあるからです。
退職代行の失敗を回避する一番有効な対策は、業者選びと言えるね。次の項からは、「じゃあ、どんな業者を選べばいい?」という疑問に答えるよ
【前提】多くの退職代行業者は会社と「交渉」ができない
退職代行を依頼する際に注意したいのは、多くの業者ができるのが「退職したい」という顧客の意志を会社側に「伝達」することにとどまるという点です。会社と「交渉」はできません。
仮に会社側から「あんたなんかと話さない。本人から連絡させて。」なんて強く突っぱねられたら、退職自体ができないなんてことが十分に考えられるんです。最近は怪しい退職代行業者が乱立していますから会社側も用心深くなっており、失敗の可能性が高くなります。
退職代行の際に、「有給を消化したい」なんて言われても、もちろん交渉できません。万が一「損害賠償を請求する!」なんて言われても、業者ができることと言えば弁護士を紹介することぐらい…。
なぜ多くの退職代行業者が会社と交渉できないかというと、退職の交渉などの「法律事務」を弁護士以外が行うと違法になってしまうからです。
弁護士以外が報酬を得る目的で法律事務を行おうとすることを「非弁行為」と呼び、違反すると2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されます。
(非弁護士との提携等の罪)
第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第七十二条の規定に違反した者
四 第七十三条の規定に違反した者
引用元:e-Gov法令検索
要するに、たいていの退職代行業者は交渉力を持たない「伝書鳩」的な存在ということだね
会社との交渉が可能で料金が安い「労働組合」型
弁護士でなくても会社と交渉できる、例外的な退職代行業者の種類が1つだけあります。それが「労働組合型」の退職代行業者です。
労働組合は労働者に代わって、会社と交渉することを労働組合法で認められています。
“第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。”
引用元:e-Gov法令検索
労働組合型なら、会社側が業者と交渉しなければならないのはもちろんのこと、業者によっては有給消化の請求も代わりに行ってくれます。労働組合型の退職代行業者の数は少ないですが、当サイトでおすすめしているのは「退職代行SARABA」です。
「退職代行SARABA」は、業界最大手であり、テレビや新聞、雑誌などでの紹介も多数。(どんなメディアで紹介されているかは公式サイトで確認できます。)料金は24,000円で追加料金もかかりません。
退職代行の相場はだいたい3万円~5万円なので、労働組合型なのに、ちょっと安いぐらいです。何より、万が一退職に失敗した場合は全額返金するという保証を付けているから安心ですね。
SARABAに依頼して退職できないなんてことは、ほぼ100%ない。全額返金保証をつけているのは、その自信の表れと言えるね。
交渉力抜群で万が一の際にも心強い「弁護士」型
労働組合型と比較しても、さらに交渉力が高いのが弁護士型です。あなたと会社との関係性などを振り返ってみて、「ここで退職代行なんか使ったら、裁判沙汰になる可能性高いな」なんてときには、労働組合型より弁護士型をおすすめします。
弁護士型であれば、万が一裁判になってもその支援や弁護まで引き受けてくれます。
ただ弁護士型のネックなのは、労働組合型に比べ料金が高くなることです。基本となる着手金の他、たとえば回収した残業代・未払い給料の20%程度の成功報酬が必要となります。
それでも裁判になる可能性が高いほど、会社側との交渉が厄介なものになりそうなら、弁護士型の方が安心して任せられるでしょう。中でも当サイトでおすすめしている弁護士型が「弁護士法人みやび」による退職代行サービス。
こちらも退職代行業者としては実績が高く、信頼性が高いのがメリットです。着手金は55,000円、その他に上に述べたような成功報酬が加算されます。
相談料は無料で、LINEの窓口もあるので、気になる方はまず相談してみてはいかがですか?
基本は労働組合型がおすすめ。だって労働組合型で退職も交渉もできる上に低価格だから。
ただ、あなたが退職することで確実に大きな契約がとぶとか、会社側に大きな損害が出そうなときには弁護士型にした方が安心。
まとめ
労働組合や弁護士が運営している退職代行サービスの業者以外に依頼すると、会社と交渉ができず「退職できない」などのトラブルになる可能性が高いです。特に最近は悪質な業者も増えているため、なかには「お金だけ支払ってバックレられた」なんてケースも…。
その点、労働組合型・弁護士型の退職代行業者、中でも知名度が高く実績もある業者を選ぶとトラブルになる可能性が限りなく低くなります。退職代行の業者を選ぶ際は気を付けてください。