会社を退職するときに、その理由は必ず聞かれます。特に会社側があなたを引き留めたい場合に上司は退職理由を聞いて、「どうすれば辞めないでもらえるか」を検討したいと考えるからです。
その上で仮に、あなたの退職理由が会社への不満や批判など後ろ向きなものであれば、上司へ伝えづらいと思うのではないでしょうか。相手に気持ちを伝えられるのはよいものの、正直なことが必ずしも正しいわけではりありません。後ろ向きな退職理由は、上司にあなたを引き留める「手掛かり」を教えることになる場合も多いです。
あなたが気持ちよく退職できて、会社も素直に送り出すしかないような退職理由の「変換」をするべきです。
会社への不満を退職理由にするのを避けるべき理由
余程なことがない限り、会社への不満や批判を退職理由にすべきではありません。あなたにとって、デメリットが多いからです。
それでは、具体的にどんなデメリットがあるのでしょうか。以下、1つずつみていきましょう。
引き留める理由にされやすい
上司や会社があなたを辞めさせたくない場合は、退職交渉中もあなたを引き留める方法を常に探しています。退職理由は、相手にその方法を見つけさせる最もよい材料なのです。
たとえば職場の人間関係に対する不満が退職理由なら、配置換えや部署移動を提案されるかもしれません。もっとシンプルに、不満を感じている同僚や先輩等へ「注意しておくから様子見て」なんて言われることもあるでしょう。
相手の提案があなたにとって満足のいくものであれば、それはそれでハッピーでしょう。しかし、そうでないなら、あなたは相手の提案では足りない理由をさらに説明しなくてはなりません。その分だけ退職交渉がのびることにもなります。
円満退職から遠のく
会社への不満や批判は、上司や会社にとっても決して気持ちよいものではありません。仮にあなたの言うことが正しくても、上司や会社の態度が悪くなるかもしれません。
もちろん、それを承知の上で、(ケンカ別れも辞さない覚悟で)不満や批判を伝えるならそれはそれで悪くないでしょう。そうではなくて、円満に退職したいなら避けるべきです。
円満に退職できるか否かで、退職がスムーズにすすむかどうかも大きく変わります。会社や上司との関係が良好なら退職日や有休の取得も柔軟に応じてくれるでしょう。あなたにとっても都合がよいように、上司や会社が協力してくれます。会社を辞めるときは、できるだけ円満退職を目指したいところです。
退職後に、会社の人と会いにくくなる
退職後に上司や会社の同僚との縁が、すっぱりと切れるとは限りません。たとえば、あなたが同じ業界の退社へ転職したら、仕事上の理由で元の会社と取り引きをしたり連携したりする機会があるかもしれません。
あなたの家から会社がそう遠くないのであれば、街でばったり元の会社の人と出くわすこともあるでしょう。もしあなたが会社への不満や批判を置き土産に退職していたら、気まずく感じるかもしれません。
仕事上の理由で元の会社の人との連携を密に取らないといけないようなら、仕事に支障がでることもあるでしょう。上司や会社と退職交渉をするときは、このぐらい先のことを考えた方がよいです。
不満や批判でなければ、会社から有意義な提案を引き出せることもある
退職理由が不満や批判でなく前向きなものであれば、会社があなたにとって良い提案(ポジション・給与等)をしてくれる可能性もあります。あなたにとっては転職以外に、1つメリットの多い選択肢が増えるわけです。
後ろ向きな退職理由はウソでごまかすのでなく「変換」する
みてきたように、会社への批判や不満を退職理由として伝えるのはデメリットが多いです。そのため、できれば後ろ向きな退職理由を、そのまま会社や上司に伝えるのは避けた方がよいでしょう。
とはいえ、単にウソをつくのもおすすめできません。隠し通せるならよいですが、相手にウソだとバレる可能性も高いです。それにウソだと、詳しく説明を求められたときに返答に困ることもあります。
仮に会社への不満が本当の退職理由なら、それはウソではなく前向きな理由に「変換」するようにしましょう。あなたは「不満」を理由に新しい一歩を踏み出すわけですから、たいていの理由は変換できます。
代表的な種類別、退職理由の適切な変換例
それでは会社への不満や批判は、どのように前向きな理由に変換できるでしょうか。ここではよくある代表的なパターンで例をみていきましょう。紹介した例を参考に、あなた自身にあてはめて考えてみてください。
職場の人間関係や仕事内容が合わない場合、自分の評価に不満がある場合
職場の人や仕事内容が合わなかったり評価に不満があったりして退職するということは、「新しい環境で働きたい」ということです。そのため、以下のように変換することができます。
- これまで培った経験を活かして、新しい環境で自分の力を試したい
- この職場で勉強したことを基にして、独立したい
- 仕事をしていく中で●●という資格に興味を持った。将来のためにも、勉強に集中したい
- 業務していく中で●●にやりがいを感じた。●●をより専門的に習得できる新しい職場に転職したい
給料や待遇に不満がある場合
「給料が少ない」等の待遇面に不満があるということは、「もっと待遇のよい職場で働きたい」ということです。これを前向きな退職理由として伝えられるとよいでしょう。具体的には、以下のような感じです。
- 留学費用を貯めたい。そのために給与条件のよい会社へ転職したい
- 子供の将来を考え、より収入が高い職場で働く必要がある
- 家族との時間を大切にしたいため、残業の少ない環境で働きたい
- キャリアアップのため資格取得の勉強がしたい。そのため残業の少ない職場で働きたい
たとえば給与に不満があるなら、お金が必要となる理由を具体的に説明できるとよいです。あなたの展望がはっきり分かれば、会社としても引き留めにくくなります。
まとめ
退職交渉の際に伝える退職理由は会社への不満や批判でなく、前向きな内容にするとよいです。仮に会社への不満があっても、その内容を前向きな内容に「変換」して伝えられれば、上司もあなたを引き留めにくくなります。円満退職しやすくもなり、あなたにとってデメリットはありません。