会社を退職したあとに、必要な書類を送って(発行して)もらえず困ることがあります。すでに退職して縁が切れている会社ですから、仮に書類が届かなくても会社に連絡して交渉するのが難しいこともあるでしょう。
この記事では、会社が必要書類を送ってこれないときの対処法をまとめています。仮に会社が送ってくれなくても、対応次第で書類を入手することが可能です。
会社に催促しても送ってくれない…、もしくは連絡したくない…
退職時に必要な書類を送ってもらえないとき、本来であれば会社に直接「送ってほしい」と催促するのが基本です。けれど催促しても会社が送ってくれない、もしくは会社に連絡したくないということもあるでしょう。
その場合、他の方法でも取り寄せが可能。退職時に本来会社が発行してくれる書類は、法律的に会社に発行義務があるか、その他に取り寄せる方法があるからです。
この記事では会社に連絡する以外に書類を取り寄せる方法を、書類の種類別に解説します。
可能なら会社に催促した方が早いときも?
会社に催促しても送ってこないときは別ですが、可能なら会社に催促した方が早く書類を送ってくれる可能性が高いです。というのも、これから紹介する書類のほとんどは、会社に発行義務があり、怠ると公的機関から指導の対象となってしまうからです。
上司に直接伝えるのが嫌なら、総務部・人事部といった管理部門にメール等で催促する方法もあります。この場合、たいていはスムーズに書類の発行手続きにすすんでくれる筈です。
ただ、それも難しい、それでも発行してくれなかった – というときには、この記事を参考に対応をしてください。
【種類別】書類を送ってくれないときの対処法
退職時に会社から受け取るべき書類は複数あります。ここでは、それら書類ごとに会社が送ってくれないときの対処法を紹介します。
離職票
離職票は元の会社を退職したことを証明する公的な書類です。通常、退職後に失業保険の受給手続きをするために必要となります。
一方、そもそも失業保険を受給する必要のない方、退職後にすぐ転職して働く場合はなくても困りません。仮に元の会社が送ってくれなかったとしても無視して良いでしょう。
退職後、10日以上たっても届かないときは、ハローワークへ相談して下さい。法律的にみれば会社に発行義務がある書類ですから、ハローワークから会社へ直ちに送付するよう催促してくれます。
なお会社が離職票発行に必要な書類を、ハローワークへ提出している場合もあります。このときは、ハローワークへ申請すると最短即日でハローワークに発行してもらうことが可能です。
健康保険資格喪失証明書
健康保険資格喪失証明書は、文字通り元の健康保険の資格を喪失したことを証明する書類です。転職先で別の健康保険に加入するとき、しばらく就職しない(もしくは独立する等)ため国民健康保険に加入するときに必要となります。
仮に会社を辞めたのに別の健康保険に加入しなかった場合、病院へ行ったときに保険が効かなくなるので、医療費が高くなってしまいます。そのため必ず健康保険の加入手続きをするようにしましょう。
実は健康保険資格喪失証明書自体、会社に発行義務があるものではありません。そのため会社が発行してくれないときは、自分で年金事務所へ行けば発行してもらえます。
なお健康保険資格喪失証明書を発行してもらう場合、事前に会社が日本年金機構に「被保険者資格喪失届」を提出していることが必要。この書類は退職後5日以内に、会社が提出する義務があります。もし、この手続きがすんでいないときは、年金事務所や最寄の役所の国民健康保険課に相談してみてください。
新たな健康保険に加入する前に病院へ行く必要があるときは?
退職後、新しい健康保険へ加入する前に病院へ行く必要が生じることもあるでしょう。そのときは、一旦保険がきいていない状態で医療費を支払い、領収証を受け取っておいてください。
そうすると、新しい健康保険に加入したときに差額を返金してもらえる可能性が高いです。(病院の窓口で、その旨の案内があるかもしれません。)ただ、病院によっては返金に応じてくれない可能性があるので注意しましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを証明する書類です。通常は会社に預けてあり、退職後に返却される筈です。雇用保険被保険者証は新しい雇用保険へ加入したり、失業保険の給付を受けたりするときに必要となります。
この書類については仮に会社が返却してくれなくても、ハローワークへ申し出れば再発行してもらうことが可能です。
年金手帳
年金手帳とは公的年金制度の加入者に対して交付される手帳です。中には年金に関する情報がまとめられています。転職時には、転職先から提出を求められる可能性があります。
年金手帳は自分で保管している場合、会社に預けている場合があり、会社に預けているのであれば普通は退職時に返却してもらうことが必要です。仮に返却してくれない場合(預けているかも定かでない場合)は、最寄の年金事務所で手続きをすれば再発行してもらえます。
年金手帳がなくても年金を受け取れる?
年金手帳が仮になかったとしても、年金が受け取れなくなるわけではありません。たとえば既に障害年金等を受給している方は、年金手帳を紛失しても受給が止まるわけはないということです。ただし受給手続きをするときには、年金手帳の提示が必要となります。
源泉徴収票
源泉徴収票とは、その年に支払った給料と、給料の中から税金として徴収された金額をまとめた書面で、法律的に会社に発行義務があります。源泉徴収票は退職日から1ヵ月以内に発行しなくてはならないことになっています。
源泉徴収票が万が一送られて来ないと、転職先で年末調整をしてもらうことができません。また自分で確定申告をするときも、源泉徴収票がないと手間がかかります。(別途給与証明書があれば計算できますが、源泉徴収票を使うより計算に時間がかかってしまいます。)
もし会社が送ってくれないときは、税務署へ行って「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。税務署から会社に対して発行するよう指示をだしてくれます。
税務署に行くのも面倒なときは?
前述の通り、源泉徴収票は会社に発行義務がある書類です。そのため会社の人事部や総務部等に「もし発行してくれないなら税務署に相談しますよ」と言えば、慌てて発行してくれるでしょう。会社としても、税務署から直接指導が入るのは避けたいからです。
まとめ
会社を辞めたときには、会社から書類をいくつか送ってもらう必要があります。ただ、会社によっては怠慢等で送ってくれないこともなくはありません。
ただ、そうしたときにも、会社へ送ってほしいと伝えれば、すぐに対応してくれることがほとんど。仮に会社が対応してくれないときも、書類ごとに入手する方法があるので安心して下さい。