退職代行とは、労働者に代わって会社へ退職の意志を伝えると共に、退職に伴う諸手続きのサポートをしてくれるサービスです。一部の退職代行業者は、有給取得や未払い賃金・残業代の請求などの交渉もしてくれます。
退職代行を使う人が増える中、「退職代行ってどんなサービスだろう」と興味を持った方も多いでしょう。一方、「退職代行は違法と言われた」とか「トラブルにあった」という声も増えているのは事実です。
退職代行は便利なサービスではありますが、どのようなサービスでどんなトラブルがあり得るかなど、ある程度知識を持った上で使わないとリスクもあるので注意して下さい。この記事では、「退職代行とは何か」を詳しく解説すると共に、使う前提であらかじめ知っておきたいことをまとめて紹介しています。
退職代行とは?
退職代行とは、あなたに代わって「退職したい」という意思を会社に伝えるのに加え、退職に関わる以下対応をするサービスのことです。
- あなたから保険証等を返却する旨の伝言
- 離職票や雇用保険被保険者証などの必要書類をあなたに送るよう会社へ伝言
さらに、弁護士や労働組合が運営する一部の退職代行業者では、以下にあげる対応も行ってくれる場合もあります。
- 有給を消化できるように会社側と交渉
- 未払い賃金・残業代・退職金を支払うように会社側と交渉
- セクハラ・パワハラがあった際の損害賠償の交渉
退職代行の需要・認知度は高くなっている
2017年頃から退職代行が注目を集めはじめ、2018年11月にNHKが報道番組「クローズアップ現代」で特集してから認知度が一挙に高まりました。以来、数多くのメディアが退職代行を取り上げています。
多様な働き方の調査研究機関「ツナグ働き方研究所」が2019年に、会社で働く全国の17~29歳の男女約500人を対象に行った調査によれば、退職代行の認知度は全体の約5割に及んだとのことです。
【退職代行サービスの認知度】
※参照元:就業意向に関する調査(PR TIMES)
※調査対象は全国の17~29歳男女・現在の雇用形態が「会社員(正社員)」「会社員(契約社員・派遣社員)」「公務員」499名
※調査期間:2019/4/20~2019/4/24
比較的若い人を対象に行われた調査ですが、この年代では2019年4月時点で半分は退職代行サービスについて知っているということですね。この調査から日が経っていますか、認知度はさらに高まっているでしょう。
次に退職代行サービスを知っている人のうち、「使ったことがある」「使ってみたい」と考える人は全体の35.9%となっています。
【退職代行サービスの利用意向】
※参照元:就業意向に関する調査(PR TIMES)
退職代行サービスについて知っている人のうち4割近い人は、このサービスに対して好意的ということですね。この調査結果をみても、退職代行がいかに市民権をえているか分かるのではないでしょうか。
退職代行を使って会社を辞めるというのは、選択肢の1つとして当たり前にありえる時代になっているということだね。
なぜ退職代行の需要があるのか
それではどうして、ここ数年で退職代行がこれまで認知され需要が高まっているのでしょうか。理由はいろいろと考えられますが、主な理由として以下3つがあげられます。
退職を願い出たのに認めてくれないから
労働者を劣悪な環境で働かせ続けるブラック企業は、残念ながら少なくありません。万が一、労働者が運悪くそんな企業に勤めてしまった場合、退職を申し出ても聞く耳を持たれないこともしばしばです。
また少子高齢化で労働者不足がすすむ昨今、企業は戦力になる労働者を出来れば手放したくないと考えます。そこで無理矢理にでも、退職したいという労働者を引き留めようとする会社も出てくるわけです。
労働者のなかには自分で交渉するのを諦めて、退職代行業者に頼る人も出てきています。
上司や職場の雰囲気が、とても退職を言い出せる雰囲気ではないから
上司が厳しすぎる、パワハラに合っている、職場が忙し過ぎる等の理由で、退職をなかなか言い出せない人も少なくありません。ブラック企業であれば、その傾向はさらにひどくなります。
この場合、我慢して職場に残っても精神的に病んでしまうだけです。そんな人が退職代行に頼りたくなるのも、無理はないでしょう。
退職の交渉をすることが非効率と考えているから
日本の会社において、年功序列や終身雇用のシステムは崩壊しかけています。そんな中で労働者側が、会社にだけ頼るのでなく副業をはじめたり、はたまた条件の良い会社に転職したり起業したりするのに抵抗を感じなくなっているのは仕方ないでしょう。
ひと言でいって、年功序列や終身雇用で守られていた以前と比べて、労働者側も会社に対してドライになっているのです。「そもそも会社と面倒な退職の交渉をする時間自体が無駄だ」と考える労働者が少なくありません。
会社が退職したいという従業員を無理に引き留めても、無駄となることが多いのです。年功序列や終身雇用が当たり前だったときと考えを変えていない会社と、昨今の労働者の間には大きな意識の開きがあります。
「ドライな労働者」が自分で交渉しなくても、「簡単に」退職できる退職代行の業者を選ぶのは自然の流れなのです。そういった若い労働者は、自分で長い時間をかけて交渉するより、業者に依頼した方がコスパがよいと考えています。
退職代行を使う主なメリット
それでは、退職代行を使うとどんなメリットがあるのでしょうか。その主なメリットは以下の通りです。
- 退職交渉が停滞していても、最短即日ですぐに退職できる
- 会社側と自分で交渉せずにすむ
- 明日から嫌いな上司や同僚と顔を合わせずにすむようになる
きちんとした業者なら実績に裏付けられたノウハウを持っており、自分でするよりずっとスムーズに退職の交渉をすすめてくれます。上司から高圧的な言葉をかけられるなどして、ストレスをためることありません。
さらに一部の業者を使えば、以下のようなメリットもあります。
- 有休消化や退職金、未払い賃金の交渉もしてもらえる
- セクハラ・パワハラで悩んでいた場合は、訴訟をおこすなどして損賠賠償を請求してもらえる
全ての業者ができることではないですが、退職代行とは単に退職をすすめるだけのサービスではないのです。
退職代行によく寄せられる疑問
退職代行は認知率が高まっているとはいえ、まだまだ新しいサービス。このサービスに対する世間の疑問も少なくはありません。ここでは、退職代行に関してよくみられる疑問について解説します。
退職代行は”違法”ではないのか
弁護士以外が報酬をもらって、第三者と法律に関わる交渉をすることを「非弁行為」と呼び、非弁行為は違法です。仮に違反すると2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されます。
(非弁護士との提携等の罪)
第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第七十二条の規定に違反した者
四 第七十三条の規定に違反した者
引用元:e-Gov法令検索
退職代行においても、もちろんこの法律は適用されます。多くの業者が会社と退職に関わる「交渉」をするのは違法なのです。
そのため業者は、会社と交渉ごとはしません。彼等は依頼者の意志を会社に伝えるだけの「伝言役」に徹するのです。伝言役にとどまるのであれば、違法とは見なされません。
たとえ単なる伝言役でも、わざわざ業者を使って退職しようとする従業員を無理矢理引き留めようとする会社は、そうそう多くはありません。
だからこそ、関連業者が多くなっているわけです。その一方で、こうした交渉力を持たない業者に依頼したせいで、退職に失敗して前よりもひどいことになるといった事例も後を絶ちません…。
退職代行サービスで辞めた1年目の子が人事に呼び出されて来社してきた。失敗してんじゃん!!!
— うさぎいぬ (@usagiinu_) September 6, 2019
退職代行に依頼してトラブルはないのか
退職代行の需要が急増するなか、関連の業者も乱立しトラブルが増えている感は否めません。退職に失敗するというストレートなトラブルの他、以下のようなトラブルもあります。
- 業者が会社に連絡を入れたあとに、会社が直接依頼者へ連絡して揉める
- 有給が取得できずに無駄になってしまう
さらに、あやしい業者へ依頼してしまうと、以下のようなトラブルに見舞われることも
- お金を支払ったあとに業者がバックレる
- 最初に伝えられなかった高額な追加料金を請求される
このようなトラブルに見舞われないためにも、信頼できる業者を選ぶことが必要です。
つい金銭的に厳しかったから有名じゃない退職代行利用したけど、連絡遅いし親切なのは入金する前だけ…失敗したなぁ。。退職代行自体頼むべきじゃなかったのかな…後悔。
— ゆずゆ (@ponzuponzu300) September 30, 2019
退職代行の相場はどのくらいか
あやしい業者が格安でサービス提供しているケースも多いですが、一般的には3万円前後が妥当な相場です。アルバイト・パートの方より、契約社員や正社員の方の方が、料金が高くなることもあります。
また未払い賃金の支払い等の交渉が可能な業者の場合、追加で成果報酬や実費(交通費・書類代など)が追加で請求される可能性があるので注意して下さい。一般的には交渉で得た未払い賃金等の20~25%を、成功報酬として追加で支払うことになります。
たとえば会社から50万円受け取ることになれば、そのうち10~12.5万円程度を成功報酬として請求されるわけです。決して安い費用とは言えないですね。
退職代行を使わずにバックレたらどうなる?
これも、よく言われる疑問です。退職代行も使わず会社と何も話をせずに、突然退職届を郵送してバックレるようなケースです。
この方法で必ずしも退職できないわけではないですが、おすすめはできません。リスクが高いからです。
たとえば会社から怒りの電話がきたり、両親などへクレームが入れられたりすることもあります。また突然上司があなたを訪ねてくるかもしれません。
もっと不安なのは、無断での長期欠勤が続いたとしてクビ(懲戒解雇)の扱いにされてしまうことです。転職先に渡す可能性がある「離職票」にも、懲戒解雇を受けたことが記載されます。
仮に離職票を転職先に渡さなかったとしても、転職先に退職理由を聞かれたら「懲戒解雇された」と答えなくてはなりません。嘘をついてそれがバレれば経歴詐称となり、最悪は転職先をクビ、クビにならなくても信頼を失うことは避けられないでしょう。
「嘘をついてもバレないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、その考えも危険です。転職先が退職理由の確認のために元の会社へ連絡することも多いからです。もちろん、そうなったら経歴詐称がバレてしまいます。
退職代行業者の3つの種類とできることの違い
一口に退職代行業者と言っても、3つのタイプに分類できることはご存じでしたでしょうか。どのタイプを使うかで、できることも料金も大きく異なってきます。依頼する際は、この違いをあらかじめ把握しておきましょう。
以下、3つの種類の簡単な比較表です。
一般型 | 労働組合型 | 弁護士型 | |
退職したい旨の伝達代行 | ○ | ○ | ○ |
退職にまつわる交渉全般 | × | ○ | ○ |
裁判になった際に法廷にたってもらえるか | × | × | ○ |
費用相場 | 3万円前後 | 3万円前後 | 5~7万円
+成功報酬・実費など |
一番多い「一般型」ができるのは退職したい旨の伝達のみ
前述したように弁護士資格がなく、なおかつ労働組合型でもない最も多くの退職代行業者ができるのは、あなたが退職したいと考える意志を会社に伝言するのみです。
その際に、あなたがスムーズに退職できるように、退職書類のケアなどをしてくれることも多いですが、会社側が少しでも退職させるのを渋ったりしたら何もできることはありません。彼等が交渉すれば、非弁行為となり違法と判断されるためです。
最近では会社側も相手が単なる伝達役でしかないことを分かっていることから、最初から相手にしてもらえないようなケースも多くなっています。結果、「退職代行に依頼して高いお金を払ったのに退職できず、職場に通い続けている」なんて最悪な結果になることも…。
このタイプは料金が安いですが、伝達しかできないことからトラブルになる事例も多く、当サイトではおすすめしていません。
最もおすすめはバランスのとれた「労働組合型」
安全かつ確実に退職をしたいのであれば、おすすめは労働組合型です。当サイトでもこのタイプをおすすめしています。
労働組合型では、あなたが退職するまでの間、業者の指定する労働組合に加入します。(退職後は自由に脱退可能)そうして組合員の代理として業者が会社と「交渉」をすすめてくれるわけです。
労働組合は、労働者にかわり会社と交渉することが法律によって認められています。
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。
引用元:e-Gov法令検索
労働組合型なら、仮に会社側が退職させるのを拒んだとしても交渉して退職の手続きを進めてくれます。会社側も相手が単なる伝達役ではないことから相手にせざるを得ず、基本的に退職を認めざるを得ません。
さらに、このタイプをおすすめできるのは、料金が一般型と変わらず安いことです。弁護士型で必要となる成功報酬や実費(通信費・事務処理費用等)もかかりません。
また、このタイプは交渉も可能であることから、業者によっては有給取得・退職金・未払い賃金・残業代などに関する会社側との交渉も行ってくれます。
中でも実績豊富な「退職代行SARABA」がおすすめ
労働組合型の中でも当サイトでおすすめするのは実績豊富で人気も高い「退職代行SARABA」です。料金は24,000円とお安く、なおかつ万が一退職に失敗した場合には全額返金という保証もつけています。
この保証がつけられるのは、「絶対失敗しない」という自信の証。利用者の評判もよく、安心しておすすめできる業者です。
パワハラ・セクハラの損害賠償請求が必要なら「弁護士型」
退職代行サービスの中で、最も料金が高くなるのは弁護士型です。このタイプは交渉力が高い上に、万が一裁判になったとしても法廷に立ってくれます。(労働組合型では、弁護士の紹介にとどまります。)
そのため、あなたがパワハラ・セクハラの損害賠償までしたい、とか、会社と裁判になる可能性が高い場合には、弁護士型をおすすめします。
ただ弁護士型で気を付けなくてはならないのは、やはりその料金の高さ。基本となる料金がそもそも高い上に、成功報酬や実費が別途必要となります。
成功報酬の相場は、あなたが会社から受け取った金額の20~25%。たとえば30万円の未払い賃金・残業代を会社が支払うことになった場合は、そのうち6~7.5万円が成功報酬となるわけです。
ただし、はじめから裁判で戦うことになるのが分かっているなら、その後の裁判もストレスなく進められることから弁護士型に依頼した方が無難でしょう。
弁護士型でおすすめするのは「弁護士法人みやび」
弁護士型のなかでも実績値が高く、人気が高いのは弁護士法人みやび。LINEでの相談は無料なので、気になる方はまず相談からはじめてみてはいかがでしょうか。
まとめ
退職代行は、あなたの代理で会社に退職の意志を伝達すると共に、退職する際のサポートを行ってくれるサービスです。しかし多くの退職代行業者は、法律上、会社と交渉することはできず「退職できない」などのトラブルになるケースが増えています。
当サイトでは、会社との交渉が可能で料金も安い「労働組合型」の業者をおすすめしています。