会社をバックレて退職しようと思っていませんか？ しかしバックレるのは致命的なデメリットやリスクが多過ぎておすすめできません。費用がかかるものの、退職代行を使って辞める方が安心です。この記事では、バックレて辞める方法と退職代行がどれだけ違うか解説します。
退職代行とは？バックレとどこが違うの？
退職代行とは業者が依頼者の代理で会社へ連絡し、依頼者が円滑に退職できるよう調整するサービスです。退職代行では会社から、依頼者が辞めるという了承を取り付けることになります。
一方、バックレて辞めるとは会社へ何の相談もなく、一方的に会社を去ることです。バックレる際は当然ながら会社に辞めることを告げていませんし、了承もとっていません。
退職代行とバックレを比較して会社を辞める点での最も大きな違いは、以下の2つです。
- 会社を辞めることを、会社に告げるか否か
- 会社を辞めることについて、会社から了承を取るか否か
バックレて辞めるなら、少なくとも退職届を会社へ送りつけよう
バックレて辞めるときは、会社に辞めることを告げることも了承をとることもありません。ただ、これだとリスクが多過ぎるので、少なくとも会社に連絡だけでもした方がよいです。きちんと知らせるだけ相手に迷惑をかけませんし、このあと紹介するデメリットも軽減できます。
ただ、「知らせる」といっても上司に退職したいと伝えるのは難しいでしょう。（それができるなら、そもそもバックレたりしないですね。）
そこで退職届を郵送することをおすすめします。郵送なら、上司に話す必要もありません。
退職代行とバックレの比較（バックレの致命的なデメリットとは？）
退職代行とバックレの違いをみてきました。それでは、それぞれのやり方で会社を辞めた場合に、どのような差があるのでしょうか。以下、それぞれの主な差を比較表形式でまとめます。（退職届を郵送することで軽減できるデメリットについてもコメントしています。）
| 退職代行 | バックレ | |
| 費用 | 数万円程度 | 無料 |
| 懲戒解雇の可能性 | ほぼない | ないとは言い切れない ※退職届を郵送すれば、ほぼない |
| 有給の取得 | 可能 | まず取得できない |
| 社会保険の手続き | 心配がない | 問題が起こる可能性がある ※問題が起こる可能性を下げられる |
| 上司からの連絡 | ほぼない | 可能性が高い |
| 家族に連絡される可能性 | ほぼない | 可能性が高い ※退職届を郵送すれば可能性を下げられる |
| 退職金 | 受け取れる可能性が高い | 受け取れない可能性が生じる |
| 必要書類の発行 | 問題はほぼない | 問題が起こる可能性がある ※退職届を送れば、問題が起こる可能性を軽減できる |
以下、それぞれの差について、1つずつ解説していきますね。
費用について【退職代行：有料/バックレ：無料】
退職代行サービスを使うためには、当然ながらお金がかかります。費用はサービスによってまちまちですが、最も人気のあるサービスの価格帯はおおよそ3万円前後といったところです。
一方、バックレて辞めるときは、言うまでもなくお金がかかりません。お金がかかってしまう点は、バックレて辞めることに対して退職代行を使うデメリットと言えますね。（このあとに説明するのは、バックレて辞めることのデメリットになります。退職代行のデメリットは料金がかかってしまうことぐらいですね。）
懲戒解雇の可能性【退職代行：ほぼない/バックレ：ないとは言い切れない】
これは、バックレの最も致命的なデメリット。
懲戒解雇（クビ）とは会社が従業員に与えることができる最も重い処分です。会社に大きな損害をあたえたときに、従業員を強制的に辞めさせることを懲戒解雇と呼びます。
懲戒解雇は本来、業務上横領のように余程でないと下せません。けれどバックレを無全欠勤と解釈され、それが長期間（一般的には2週間程度）続くと、懲戒解雇の処分を下されてしまう可能性があるのです。
といっても通常は、会社が「優しさ」を見せたり懲戒解雇した社員に後から文句を言われるのが面倒臭かったりして懲戒解雇までしません。けれど全くないとも言えないのが正直なところです。
懲戒解雇を受けた場合、転職時の面接で退職理由を聞かれたら懲戒解雇された事実を正直に答えなくてはなりません。もし嘘をつけば経歴詐称となってしまうからです。（ウソをついても書類のやり取りなどであとからバレる可能性もあります。）
けれど、そう書けば面接先の会社が悪い印象を持つのは言うまでもありませんね。結果、転職しづらくなってしまうでしょう。
一方、退職代行なら会社から了承をとって辞めるので、まず懲戒解雇を受けることはありません。その意味でも、退職代行の方が安全に辞められる – と言えるのです。
退職届を郵送して辞めれば、少なくとも無断欠勤扱いされることはない。そのため懲戒解雇される可能性は限りなく低くなるよ。
有給の取得【退職代行：可能/バックレ：まず取得できない】
これもまた、バックレの致命的なデメリットです。
また退職代行とバックレの最も気になる違いではないでしょうか。有給が余っている場合、退職代行であれば取得できます。（業者によっては、有給取得の調整をしてくれない可能性もあります。）
一方、バックレて辞める場合は、そもそも有給の調整ができません。退職届を郵送する場合も、取得するのは難しいと考えた方がよいでしょう。有給が多く残っているようなら、退職代行を使って有給消化した方がかえってお得になることも多いです。
退職届を郵送する場合も、有給を取得するのは難しいだろう。有給を取得したい旨の交渉ができないからね。有給を取得したいのであれば、退職代行の利用をおすすめするよ。
社会保険の手続き【退職代行：心配がない/バックレ：問題が起こる可能性あり】
本来であれば退職と同時に、従業員を社会保険から脱退させることになります。従業員を社会保険へ加入させておくと、会社も保険料を支払い続けないといけないからです。（たいていの会社が従業員と保険料を半分ずつ支払っています。）
ただ、バックレて会社を去るときは、この手続きで問題が発生する可能性があります。普通に会社を辞めるときと違い、会社がいつこの手続きをするか分からないためです。
そうして社会保険から脱退させられているのに保険証を使ってしまうと、あとから社会保険で安くした分の医療費を請求されることになります。だいたい社会保険により医療費は7割安くなってますから、その7割分をあとから支払うことになるのです。たとえば自己負担額が3,000円だったとしたら、社会保険で割り引かれた7,000円分を請求されます。
一方、退職代行を使えばいつが退職日になるかがわかるため、このような問題は起こりません。こういった点を考えても、退職代行で辞める方が安心と言えるでしょう。
退職届を郵送したときも退職日や社会保険から脱退させられる日が分かることから、基本的にこの問題は発生しづらい。でも、退職届で書いた希望通りに会社が手続きしてくれると断言できないので、退職代行を使った方がより安心だ。
上司などからの連絡【退職代行：ほぼない/バックレ：可能性が高い】
無断欠勤が続いている場合、会社としては従業員の安否確認をしなくてはなりません。そうでなくても、上司が怒って電話してくる可能性も高いでしょう。バックレようとしているときに、上司などからの連絡を対処しないといけないのは辛いですね。
一方、退職代行を使えば会社に退職の意志が伝わることから、会社としては安否確認が不要です。上司が連絡してくる可能性も低いでしょう。退職代行の業者に、会社側から依頼者へ連絡しないよう念押ししてもらうこともできます。
退職届を郵送した場合も、会社が安否確認することはない。でも、上司などが連絡してくる可能性はあるだろう。
家族へ連絡される可能性【退職代行：ほぼない/バックレ：可能性が高い】
バックレて無断欠勤が続いていれば、まず会社や上司が従業員へ連絡するのが一般的です。そうして電話にでないなどで従業員と連絡がとれなければ、安否や状況の確認のため会社が従業員の家族へ連絡する可能性が高くなります。これでバックレたことが家族に知られるわけです。
一方、退職代行で辞めれば会社としては安否・状況確認が不要なので、家族へ連絡することはありません。このあたりの問題が起こりにくくなるのも退職代行を使うメリットです。
退職届を郵送する場合、会社としては安否確認が不要なので家族に連絡する可能性は低いよ。でも、退職代行の方がより確実だね。
退職金について【退職代行：ほぼ受け取れる/バックレ：受け取れない可能性がある】
会社や勤続年数によっては、まとまった金額の退職金が受け取れることも多いでしょう。しかしバックレて会社を辞める場合、懲戒解雇扱いとなり退職金を支払ってもらえなくなる可能性が高まります。会社の温情で、自己都合による退職扱いにしてもらえるケースも多いですが期待はできません。
一方、退職代行を使った場合は、懲戒解雇にはならないのでほぼ確実に退職金を受け取れます。バカにならない金額の退職金があるときは、退職代行を使った方が安心ですね。
退職届を郵送すれば懲戒解雇扱いになる可能性は低いので、退職金を受け取れる可能性が高くなる。そういった意味でも、少なくとも退職届を郵送した方がよいだろう。
必要書類の発行【退職代行：問題はほぼない/バックレ：問題が起こる可能性がある】
通常、退職するときは離職票や源泉徴収票といった書類を会社が発行してくれます。これらはその後の各種手続きで必要です。ただバックレて会社を辞めるときは、これら必要書類を会社が素直に発行してくれるとは限りません。仮に発行してくれないと、発行の催促など面倒な対応が必要となります。（詳細は以下記事でまとめています。）
一方、退職代行を使う場合、ノウハウがある業者に依頼すれば書類を発行するよう調整してもらえます。会社に催促をかけるなどの必要はまず生じません。その意味でも、退職代行を使った方がスムーズに退職の手続きをすすめられるのです。
退職届を郵送した場合は、会社が書類を発行してくれる可能性が高い。でも退職代行できちんとした業者に依頼すればそのあたりもきちんと調整してくれるし、まず書類関連の心配もなくなるよ。
【まとめ】バックレより退職代行を使った方がはるかに安心でお得
バックレて会社を辞めるのと違い、退職代行を使えば数万円の費用がかかります。かわりに退職代行を使えば有給をほぼ確実に取得できる他、退職の手続きで問題が起こることもないでしょう。
バックレてしまえば懲戒解雇の扱いにされてしまったり、上司などからしつこく連絡されたりといったデメリットも多いです。退職届を郵送すれば、これらデメリットを軽減できるとはいえ、有給を取れないのは変わりません。
これらの点から、会社を辞めるときはバックレるより退職代行を使ってスムーズに会社を去ることをおすすめします。きちんと対応してくれる業者に依頼すれば、費用以上の価値は十分にあるでしょう。