希望をもって入社した会社の試用期間中に、「想像していた業務でない」「職場が合わない」などの理由で、退職したくなることもあります。けれど「入ったばかりで言い出せない」「会社から引き留められた」といった状況ですぐにやめられない可能性も低くありません。
そんなときに退職代行を使えたら助かりますね。
実際、試用期間中であるか否かに関わらず、退職代行を使うこと自体は可能で、使うことのメリットも多いです。この記事では、試用期間中でも退職代行を使える理由や、退職代行を使うメリット・デメリットについて解説しています。
そもそも試用期間とは?
試用期間とは、簡単に言うと雇った従業員が正社員として働いていけるかチェックするための「お試し期間」を指します。試用期間を設けている企業は多く、その期間は一般的に1~6ヵ月間、長くても1年が限度です。
試用期間だからと言って、社員はすぐに辞めさせられてしまうわけではありません。あくまで試用後の長期契約を前提とした期間であり、細かいルールはあるものの、基本的には通常の労働契約とほぼ同じと考えられます。
そのため試用期間でも、収入に関する条件はその他の社員と同等です。企業によっては試用期間中の給与を下げている場合もありますが、いずれにしろ最低賃金以下の設定は認められていません。
なお試用期間は研修期間とは違います。研修期間は本採用自体は決まっており、試用期間のようなお試し期間ではありません。
企業がお試し期間を設けるのはナゼ
それでは、なぜ企業がお試し期間を設けているのでしょうか?
企業としては、最初の採用面接やテストだけで「本当にその社員が自社に合っているか」を正確に判断するのは簡単ではありません。そこで試用期間を設け、その間に確かめるわけです。
前述のとおり、試用期間中でも本採用でも給与をはじめとした労働条件はほぼ同じですが、以下のような細かい違いはあります。
●本採用後と比べると、社員を解雇しやすい
本採用後と比べると、社員の解雇が認められる範囲は広くなります。「期待していた程の能力はないようだな」程度で簡単に解雇できませんが、試用期間の趣旨に照らし合わせ合理的な理由があれば解雇できます。具体的には「勤務態度がひどい」「欠勤が多い」「経歴を詐称していた」といった理由です。
●試用期間開始後14日以内なら解雇予告が不要
解雇予告とは、会社が社員を解雇する場合に、解雇日の30日前までに解雇する旨を伝えなくてはならないという法律で決められたルールです。ただし試用期間中の場合は、入社後14日以内なら解雇予告が必要ないとされています。
●労働条件を変更しやすい
本採用後と比べると、試用期間中は労働条件を変更しやすくなります。「思ったより成果を出していない」ということであれば、労働者と話し合った上で給与を下げることも可能。逆に試用期間中の給与は少なめに設定してあり、試用期間中の働き次第で給与アップが約束されるようなケースも少なくありません。
●採用した社員の意識を高めることができる
「まだ試用期間中なんだ」という風に考えれば、社員も緊張感をもって仕事に励みますよね。企業は、その効果を狙ってあえて試用期間を設けている面もあります。
試用期間中でも退職代行を利用することは可能
試用期間の概要をおさらいしてみました。その上で結論から言うと、試用期間中でも労働条件等はほぼ本採用事同じなので、退職代行を利用して退職することもできます。(研修期間でも試用期間同様に退職が可能)試用期間中だからといって、社員が自分の意志で会社を辞められないわけではないのです。
会社側からみれば、「まだ試用期間中なのに辞めるのか?」と思われることもあるかもしれませんが、試用期間中に退職できない、という法律的なルールはありません。「この会社でもう働いていけない!」ということなら、退職を検討するのもよいでしょう。
退職代行での「即日退職」も可能
退職代行の中には、最短で申込日当日に代行を行ってくれるサービスもあります。そういったサービスを使えば、即日退職も可能です。
ただ注意が必要なのは、この場合の「即日退職」とは必ずしも「今日で会社との縁が切れる」というわけではないということです。法律的にみると、正社員の場合は「退職を申し出てから2週間後に退職できる」ことになっています。このルールに当てはめると、退職代行を行ってから実際に退職できるのは2週間後、ということなります。
ただし、退職日までの2週間は欠勤扱いにしてもらうことが可能なので、退職代行を使えば、そのあとから「会社に行かないですむ」わけです。退職代行では、このようなかたちでの「即日退職」を受け付けていることが多いです。
なお交渉次第では、会社が実際に即日での退職を認めてくれることも少なくありません。会社としては、もう辞める人材のために社会保険料等の経費をかけたくないためです。
試用期間中に退職代行を使うメリット
それでは試用期間中に、退職代行を使うメリットはなんでしょうか。
1つずつみていきましょう。
ストレスを抱えず、スムーズに退職できる
試用期間がまだ終わっていない段階であると、会社から「もう少し仕事を続けてみたらどうか」「とりあえず試用期間が終わるまで頑張ってみたら?」などと、引き留められる可能性もあります。(特に人手不足の会社の場合は、しつこい引き留めに合う可能性も)
結果、なかなか退職できずにストレスを抱えたまま仕事を続けることになる、なんてこともありえるでしょう。合わない職場で働き続けて、精神的に追い込まれる、なんてこともあるかもしれません。
その点、ノウハウを持つ業者に退職代行をしてもらえれば、スムーズに退職まで導いてくれます。会社の上司などと交渉を続ける必要はないので、ストレスから解放されるでしょう。
速やかに新しいスタートが切れる
また退職代行を使い、さっさと退職を決めることで、より早く新しいスタートをきれるというメリットもあります。自分にどうしてもあわない職場で無理して仕事を続けるより、一刻も早く新しい仕事などを見つけた方がよいことは言うまでもありません。
試用期間中に退職代行を使うデメリット
試用期間中に退職代行を使って退職する際には、デメリットもあります。こちらも1つずつみていきましょう。
▽退職代行を使うのに慣れてしまう
退職代行とは、事情があって自分で退職したいと言えないときや、会社がどうしても退職を認めてくれないときに使う特効薬のようなものです。あなたにとっても会社にとっても、できるなら退職代行を使わずに退職を決められる方がいいのは言うまでもありません。
そんな中で一度退職代行を使うのに慣れてしまうと、その手軽さに慣れて次に退職するときも(自分から会社に告げても退職を認めてくれるのに)必要以上に退職代行を使ってしまう人もいます。退職代行はあくまでも、他に方法がないときの最終手段として使うようにしましょう。
転職面談の際に退職理由を説明しづらい
また退職代行を使うか否かに直接関係はありませんが、試用期間中の退職でデメリットがあるのは転職の際です。転職先の面接の際、「なぜこんなに早く前の会社を辞めたのか」は必ず聞かれます。試用期間中に退職すると、その説明がし辛くなるわけです。
転職面談で退職理由を説明する際は、以下のように、きちんと退職の理由を説明できるようにしましょう。前の会社の愚痴のような後ろ向きな回答は、相手の印象がよくないので避けるべきです。
「実際に働いてみて、希望していた業務と違いました。〇〇のスキルやキャリアを高めたいと考え、以前の上司と相談し、納得していただいた上で退職しました。」
「入社してすぐ家族が病気で入院することになってしまい、私の看護が必要な状況でした。いつ回復するかも読めない状態でしたので、このまま残っても会社に迷惑をかけしてしまうと考え、残念ではありますが退職させていただくことになりました。」
試用期間中に辞めたとなると、転職先の面談でも「ウチでちゃんとやってけるのかな?」と疑問に思われる可能性は高い。面接官に納得してもらいやすい退職理由を話せるようにしておこう。
【結論】デメリットもあるが試用期間中も必要なら退職代行を使うべき
説明したように、退職代行を使うことによるデメリットがないわけではありません。
けれど「とても自分から言い出せる雰囲気ではない」「引き留めがしつこい」などの理由で、退職できずにストレスを抱え込んでいるなら退職代行を使ってさっさと辞めてしまった方がよいです。
そのまま仕事を続け精神を病んでしまったり、転職するのが大幅に遅れてしまったりしたら意味がありません。退職できずに状況が悪くなっていくだけなら、一刻も早く退職代行で決着をつけるべきです。
まとめ
試用期間中であったとしても、本採用とほぼ労働条件は変わらないので、本採用後と同様に退職代行を利用して退職することができます。
合わない職場に無理して居続けてストレスをため続けたり、新しいスタートを切るのが遅くなったりするより、退職代行サービスを使って、さっさと辞めてしまった方が何倍も生産的でおすすめできます。